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童話

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あまのはごろも

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昔あるところに若い男がひとりでくらしておりました。
男は別に見た目が悪いわけでもないし、働きが悪いわけでもないのになぜかお嫁さんができませんでした。
それでも男は、まいにち朝から晩まで同じように働き、ひとりでも楽しく暮らしておりました。
ある朝、男はいつもよりも早く目がさめたので、仕事をしに浜辺へ出かけていくと、
その日は、とても良い天気だったので、浜は朝誰もいないときなどは静かで波も穏やかで朝日がきらきらと水面に輝いて白い砂と緑の松の木がとても美しいところでした。
そんなに美しいところですから・・、やっぱり天から見ていても綺麗なところに見えたのでしょうか。
その日はこの美しい浜に水遊びをしようと天から舞い降りてきた天女たちが、浜に近いところで泳いでいました。
男は天女に気づかずにいましたが、天女たちは人の気配に慌てて身支度を整え、急いで風に乗って天に帰っていきました。
最後の天女のきらめく衣の裾が雲に隠れるところを男は目の当たりにし、腰を抜かさんばかりに驚いていたのですが、何やら浜に近い岸辺にも日の光を浴びてきらきらしているものが見え隠れしているようだったので、そっと近づいてみました。
なんと・・まぁ綺麗な衣なのでしょう!
いままでこんなに綺麗なものはみたことがなく、とても軽くて手にしていてもその重さも感じませんし、良い香りがし、男はどうしてもそれがほしくなり小さくたたんで懐にしまいこみました。
ちょうどそのとき、木の陰からしくしくと悲しげになく女の声がしたので、振り返るとそこにはみたこともない美しさの若い娘が裸のまま、木の向こうに隠れてないています。
風に飛ばされた羽衣を探しているうちにほかの天女たちに送れて、浜に取り残された天女が見つからない衣を探して泣いていたのです。
「娘さん、どうしました?そんな格好じゃかぜをひく。さぁこれを着てとにかく私の家に行きましょう。」
男は懐に入れたあの衣が娘のものだとわかっていましたが、知らぬふりをしていいました。
これほど美しい娘は町に出ても早々いませんし、男は何とかしてこの娘も自分のものにしたいと思ったのです。
娘はしばらく考えていましたが、ほかに方法もなさそうだと思い仕方なくうなづいて男について行くことにしました。
その時からの男のまいにちはすっかり変わり、娘の作るおいしい食事に喜び、いっしょに畑へ出かけたり山へ遊びに行って花を摘んでやったりたまに町に出ては娘を楽しませてやったりと娘をとても大事にしていました。
ですから男は娘のために今までよりも一生懸命働きました。
娘も思いがけないことにはなってしまったとおもいつつも男のやさしさやいっしょにいるときの楽しさ、何か自分のしたことにいちいち大喜びしてくれる男をいつのまにかいとしいとさえ思うようになっていました。
それでも何かの時に娘がふっと顔を曇らせ、深いため息をついては目に涙をうかげべるのを男は見逃しはしませんでした。
男にはそれがなぜなのか良くわかっていましたし、娘の悲しそうな顔を見るとやはりいけないことをしているのだとおもい一瞬あのうす衣を返してやろうかとも思うのですが、それでももう少し、もうちょっとだけいっしょにいたいとおもって、屋根裏に隠したあの羽衣のことは黙っていました。
あるとき家の掃除をしていた娘は屋根裏にみたことのない箱があるのを見つけて大事な服ならば虫がつかにようにほしておこうと思い、ふたを開けてみると、
驚いたことに中にはずっともう一度手にしたいとねがっていた自分の羽衣が入っているではありませんか・・!!
娘はそれを持って 男の前にきちんと座っていいました。
「おまえさん、これは天女の私の羽衣です。どうして隠していたりしていたのです?お前さんがとても私を大事にしてくれていたので私は本当に楽しかったしうれしかったけれど、羽衣を隠していたからにはもう一緒に入られません。」
そして立ち上がるとふわりと羽衣を身にまとい、開け放った窓から天に向かって飛び立っていきました。
男はすぐに手を伸ばして羽衣を取り戻そうとしましたが、ほんのちょっとの差で娘はもう男の手の届かないところへ言ってしまっていました。
男は娘を呼びながら天に向かってどんどん小さくなる娘の姿をただじっと見つめて立ち尽くすばかりでした。

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