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ブレーメンのおんがくたい

むかしむかしのことです。
年を取って、働けなくなったロバが、ブレーメンという所で、音楽家になろうと、道を歩いていました。
しばらく行くと、やはり年おいた犬と出会いました。
「おれはこれからブレーメンヘ行って、あの町の音楽家になろうと思っているところだが、きみも一緒に行って音楽隊にやとってもらったらどうだ。おれはギターをひくから、きみはタイコをたたきなよ」
それを聞いた犬は、ロバといっしょに音楽家になるため、ブレーメンに行くことにしました。 また道を行くと、年取ってネズミを取れなくなった猫に出会いました。
「じゃあ、おれたちと一緒にブレーメンヘ行こうじゃないか。お前さんは夜の音楽がおとくいだから、町の音楽隊にやとってもらえるよ」
ロバと犬が誘うと、猫は、
「それはいい考えだね。」
と言って、仲間になりました。
三匹が歩いて行くと、今度は年取ったオンドリに会いました。するとオンドリは、ありったけの声でさけびたてていました。
「きみはいい声だ。おれたちが一緒に音楽をやりゃ、たいしたもんだぜ」
こう言われ、オンドリもブレーメンに行くことにしました。
四匹が森に着いたところで、日が暮れました。
遠くに家の明りが見えます。
「今夜は、あそこに泊まろう。」とロバは言いました。
行ってみると、そこは泥棒たちの家で、泥棒たちは、夕ご飯を食べているところでした。
「あのご飯を取ってやろう。」
犬がそう言って、ロバの背中に乗り、犬の背中に猫が乗り、最後に猫の頭にオンドリが跳び乗りました。
「それっ。」と、ロバが声をかけました。
ロバは、ヒヒーン。
イヌは、ワンワン。
ネコは、ニャーニャー。
オンドリは、コケコッコー。
と、なきさけびました。
「ぎゃーっ。お化けが、出たあー。」
泥棒たちは、鳴き声と動物たちの影に驚いて、森の奥に逃げていきました。
四匹は、ごちそうをお腹いっぱい食べました。
真夜中、泥棒の一人が戻ってきました。
すると、その泥棒は、猫にひっかかれ、犬に噛み付かれました。
さらに、オンドリは泥棒の頭に乗って叫び、最後に、ロバが力いっぱいけとばします。
「やっぱりお化けがいたーっ!」
泥棒は、大慌てで逃げ出していき、親分に報告しました。
「ものすごい魔女があの家に住み着きました。引っ掻くは、噛み付くは、叫ぶは、蹴飛ばすはで、とても一人の魔女の仕業とは思えません。」
それを聞いた泥棒たちは二度と家に近寄ることはなく、四匹は、この家で、いつまでも仲良く暮らしたということです。

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