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ゆきのじょうおう

むかしむかし、悪魔がひとつの鏡を作り、この鏡は、よいものや美しいものを目立たなく映し、みにくいものや役に立たないものをうつす呪われた鏡でした。 ある時、この悪魔の鏡が割れて地上に飛び散ってしまい、鏡のかけらが目に入った人は、悪いところばかり見るようになり、心臓に入った者は氷のように冷たい心になってしまいます。それを知って悪魔は大喜びでした。

ある大きな町に、男の子はカイ、女の子はゲルダという名前の貧しいけれども兄弟のように仲の良い二人がいました。 二人はある冬の日に、おばあさんから雪を降らせる「雪の女王」の話を聞き、その夜カイは、雪の女王の姿を見つけました。身体は氷でできていて、きらきらする雪の白い薄いドレスを着て、目もきらきら輝いていました。 カイとゲルダの家にはそれぞれバラの木があり、夏にはとても美しく咲き、ゲルダは、バラの花の歌を一つ覚えて、カイにも教えてあげました。 その直後、悪魔の鏡のかけらが、カイの目と心臓に入ってしまい、とたんにカイは人が変わったようになり、乱暴で、冷たい性格になってしまいました。
「カイ、どうしたの。」ゲルダがたずねますが、
「うるさい。お前なんか大嫌いだ。」
そういって家を出て行ったカイは雪の女王に出会いました。女王はカイをつれて雪の女王の城に行ってしまいました。お城でカイは、今までのことはすべて忘れてしまいました。

ゲルダは、いなくなったカイを探して旅に出ました。 それから、森の中でカラスに会い、カイをしらないかと尋ねました。
「お城にいる王子がカイではないだろうか。でもその人は王女様と結婚することになっているよ。僕がお城まで連れて行ってあげるよ。」
と言ったので、ゲルダは、カラスの手引きで城の中に入り、王子と王女の寝室に入りましたが、王子は、首筋のところがカイに似ていたがちがう人です。 お城の人たちがゲルダをかわいそうに思って、お城に留まるようにすすめましたが、ゲルダはカイを探しに行くと言ったので、お城の人は馬車と馬と長靴、そして手を温めるマフをわたしてくれました。

それからゲルダが馬車で森の中を走っていると、山賊たちつかまってしまい、お金がないとわかると山賊に殺されそうになりましたが、山賊の小さな娘がでてきて、
「ちょっと待って。この子は私の遊び相手になるんだよ。だから殺すんじゃないよ。」
そう言ったのでゲルダは助かりました。 娘は、育ちのせいで乱暴で、強情でもありましたが、ゲルダに心をひかれ今までのこと真剣に聞くと、ゲルダを逃がしてやろうと考えました。山賊のところにいた鳩やトナカイは、カイがどこにいるのか知っていました。
「その少年なら、雪の女王のお城にいるよ。お城はここからもーっと北にあるんだ。」
山賊の娘は、トナカイに、ゲルダを雪の女王のところまで送らせることにしました。
「ありがとう。絶対カイをみつけてくるからね。」
「今度は2人で戻ってくるんだよ。」

 それからゲルダを運ぶトナカイは、ラップ人とフィン人の女に教えられて、雪の女王の庭のはずれまでゲルダを連れて行きました。 途中ゲルダは、長靴と手袋を忘れてしまいましたが、主の祈りを唱えると、天使が現れゲルダを暖めてくれたので、寒さを感じませんでした。
雪の女王はちょうど暖かい国に出かけていて留守だったので、お城に入り込み、カイを見つけ出しましたがしかし、やっと会えたカイの体は冷たく、まったく動きませんでした。
「カイ私よ。ゲルダよ。会いたかったわ。」
ゲルダはカイに抱きついて涙を流すと、その熱い涙がカイの心臓に落ちて悪魔の鏡のかけらをとかし、カイは我に返りました。ゲルダはバラの花の歌を歌うと、それを聞いたカイは泣き出し、目に入った悪魔の鏡のかけらを洗い落としたのです。
「ああ、ゲルダかい。ぼくは今まで何をしていたんだろう」
「カイ、早く、おうちに帰りましょう。」
ふたりは雪の女王の城を出て、家へ帰りました。帰り道で、今までゲルダが出会った人たちが二人を迎えてくれ、二人の再会を喜びました。

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