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おじいさんとひょうたん

昔あるところにお爺さんが一人で住んでいました。
おじいさんですからもうずいぶん年をとっていましたが、生まれてからちっともよいことがないままずっと生きてきましたので、これから先死ぬまでの間に一度でよいからいいことに恵まれたいものだとおもい、七日七晩観音堂にこもって観音様にどうか福を授けてくださいと一生懸命お祈りをしました。
ところが七日目が過ぎてもなんにも起こりません。
お爺さんは がっかりしながらとぼとぼと歩いているとなにやらお爺さんの後ろからついてくる気配がしたので、振り返ると小さなひょうたんがころころと坂を下ってこっちの方へ転がってきます。
「はて・・?」おじいさんはひょうたんを拾い上げ不思議そうに眺めながらひょうたんを振ってみました。すると・・!
「お爺さんこんにちは!」「お爺さんこんにちは!」
と言ってふたりの子供が出てきたのです。これはいったい・・?と驚いているおじいさんに向かってふたりの子供は、
「私達は観音様から言い付かってお爺さんに福を授けにやってまいりました。私は金七、こちらは孫七といいます。」
そういって、可愛らしくにっこりしました。
お爺さんは「やぁ・・!これは、なんとありがたいことだ。観音様のおいいつけで・・、ありがたい!ではありがたく福をいただきましょうか。」といって、子供達の頭をうれしそうになでました。
子供が「お爺さん、どうぞひとつお願い事をしてください。」
といいますので、お爺さんはそれではと
「私はお酒が好きでしてね、いつかお酒を気のすむまで飲みたいと思っていたんですよ。」というと、
金七が「ほい、孫七さん。」といって孫七の差し出した両手の上でひょうたんを振りますと立派なさかずきが転がり出てくると、
もう一度ひょうたんを傾けると今度はそのさかずきに良い香りのお酒がなみなみと注がれたではありませんか。お爺さんは目を見張りながらもお礼を言ってお酒をすすりましたが、そのおいしいことおいしいこと。
お爺さんがうれしそうにお酒を飲んでいるのを見て子供達はにっこりしてまた言いました。
「もっと何かいりませんか?」
そこでお爺さんはお酒をのんで赤くなったほっぺたを緩ませてそれではと大好きなあんころもちを頼むと、
金七はまたひょうたんを振って孫七の差し出した両手の上に大皿を出し、続いて作りたてのあんこがたっぷり絡まったあんころもちを山盛りに出しました。
お爺さんはおいしいお酒と大好きなあんころもちをおなかいっぱい食べて満腹し、とても良い気持ちになりましたので、ひょうたんを懐に入れふたりの子供の手を引いて家に向かっていきました。
途中お爺さんは何人かの村人達に会って子供達のことを聞かれるたびにことの次第を話して聞かせ、その場でお酒やご馳走を出してみんなに振舞ったので、お爺さんのことは村中の人が知るところとなりました。
翌日からはお爺さんは村でお祝い事や法事があるたびに呼ばれては、みんなにたくさんのお酒やご馳走を振舞ったので、そのお礼にたくさんのお金をもらうことができるようになり、
お爺さんはだんだんお金持ちになって立派な家で綺麗な着物を着て、ふたりの子供と仲良く暮らせるようになりました。
そんなある日、村に馬喰う(ばくろう)とよばれる馬を扱ってお金を儲ける仕事をする男がやってきて、お爺さんのひょうたんと自分の馬を交換しないかと話を持ちかけました。
馬喰うの馬は七頭でそのどれもが綺麗ですばらしい馬でしたが、お爺さんは観音様がせっかく授けてくださった福を馬七頭と交換するなど考えられなかったので、断ろうとしたのですが、そこへやってきてた金七、孫七のふたりが「お爺さんとっかえなさい」「とっかえなさい」というので、お爺さんは名残惜しくおもいながらひょうたんと七頭の馬を交換しました。
馬喰うはひょうたんを受け取ると一目散にお城めがけて突っ走り、お殿様にこれこれのひょうたんをお持ちしました、というと、お殿様もひょうたんのうわさは聞いていましたので、すぐに男を呼び、「米を出してみせぃ。」と命令しました。
馬喰うはひょうたんを振ってみましたが・・・、はて・・?ひょうたんからは何も出てきません。
あせった男は汗を拭き拭き「米出ろ!米でろ!」といいながらなんどもひょうたんを振り続けましたが、ひょうたんからは何も出てきません。とうとうお殿様は怒り出し、男を捕らえてお仕置きをし、お城の外に放り出してしまいました。
一方お爺さんは綺麗ですばらしい七頭の馬を手に入れはしたものの、その手入れや世話をこれからするのはいかにも大変だと思い、考えに考えた挙句、お城のお殿様にさしあげようと思いつき、お城に行きました。
お殿様はその馬のおおきくて見事なことに大変驚き、とても喜び、コレまでにないほどのたくさんのご褒美をくださいました。
お爺さんはこれまでにも増して裕福になり、元気で長生きをしてふたりの子供達や村人達と仲良く暮らしたということです。

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