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童話

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おにのかいだん

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むかし、むかし、鬼が二人、山に住んでいました。
ある晩、二人は初めて、山のふもとの村に下りてみました。
「ウオー、酒が飲みてえ。」
「ウオー、俺もだ。」
そう言うと、二人は大きな家に上がり込み、部屋に座り込みました。
家の者は、みんな怖くて、家の中にあったお酒を全部鬼に出しましたが、子供は泣き止みません。
「泣く子はどこだ。山に連れてって食ってしまうぞ。」
「どうかお許しを。どうか・・・」お母さんは、子供を、物入れに押し込んで許しを請いました。
二人は、別の大きな家に上がり込み、囲炉裏の近くに座り込みました。
「ウオー、酒が飲みてえ。」
「ウオー、俺もだ。」
二人は、隣の部屋に寝ている太った奥さんを見つけると、起こして、こう言いました。
「どうして、そんなに太っている。毎日、食って寝てるに違えねえ。山に連れてって食ってしまうぞ。」
「どうかお許しを。これからは一生懸命働きますだ。」
奥さんは、家にあったお酒を全部鬼に出してやり、許しを請いました。
二人は、村中の大きな家を次から次へと上がり込み、山に戻る夜明け前まで飲み続けました。
二人は、一度お酒のおいしさを覚えてしまうと、もうお酒がなくてはやっていけなくなり、夜な夜な、村に下りて来ると、大きな家に上がり込みました。
「ウオー、酒が飲みてえ。」
「ウオー、俺もだ。」
村人たちは、とても怖くて、毎晩よく眠れません。
「もう、我慢ならねえ。」
と誰もが思いましたが、村に鬼にかなうものは一人もいないので、村人たちは、何かいい方法はないかと、密かに話し合いました。
ある晩、長老が村への入り道で、鬼が来るのを待っていました。
「ウオー、酒が飲みてえ。」
「ウオー、俺もだ。」
長老は鬼の前に行って座り込み、こう言いました。
「今晩中に、山のてっぺんにあるお宮まで、千個の階段を積んでくだされば、私ども村人は、貴方さま方が欲しいものは何でも差し上げます。酒を毎日でも、若い子を毎月でも。万一、今夜、千個の階段を積めなかったら、二度と村には下りて来ない、と約束してください。」
「そんなことは、朝飯前だ。約束しよう。お前も約束だぞ。」と言うと、大声で笑いました。
二人は、川から、大きな石を小石のように、いとも軽々と運び、階段を積むことの何と速いこと、速いこと。
三、七、十五、六十九、百七十六、三百九、四百十九、五百八、六百九十、七百四十二、八百八十一、九百九十七、九百九十八、そして九百九十九。
最後の一つを運ぼうとした時、おんどりが鳴きました。
「コケコッコー。」
「ウオー。一番鳥だ。朝だ。」
「ウオー。一番鳥だ。帰りだ。」
二人は、階段を積むのを止めました。
「コケコッコー。」
「ウオー。二番鳥だ。朝だ。」
「ウオー。二番鳥だ。帰りだ。」
鬼たちは、お日様の下では生きられません。
「コケコッコー。」
「ウオー。三番鳥だ。朝だ。」
「ウオー。三番鳥だ。帰りだ。」
鬼たちは、階段を完成することなく急いで山に戻りました。
本当は朝ではなく村の誰かがトリの鳴き声をまねたのです。
千個の階段をつめなかった鬼たちは、約束を守って二度と村には下りてきませんでした。

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