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童話

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かしこいむすめ

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むかし、むかし、ある商人がにぎやかな町で暮らしておりました。夫婦共々一生懸命働き、商売も順調でした。
働き続けて十数年、妻は病に倒れてしまい、病は日々重くなっていくようでした。医者にも、回復の見込みはなく、望みがあるとすれば朝鮮からの薬のみと、言われました。
夫は妻が痛くいとおしく、手に負えない程の薬代にもかかわらず、買い続け、やがて蓄えも底をつき、ついには借金をする羽目になりました。残念ながら、薬の効き目はありませんでした。
病気の妻はついにこの世を去ってしまい、商人に残されたのは山のような借金だけ、落ち込んでしばし何もできず、一人娘はそんな父がとても心配でした。それから、金貸しがやってきました。
「お金をいただきにまいりました。もし返していただけないのなら、訴えてもよろしいのですが。とはいっても私はそのような血も涙もない人間ではありません。借金を帳消しにしましょう。娘さんをいただければ、貸したものはご破算にしますよ。」
金貸しは、何のためらいもなく言いました。
実は、金貸しはずっと前から商人の娘のことが好きだったようで、かなり歳の差があるにもかかわらず、一度申し込んだことがありました。しかし断られたのです。
父も娘もこの二度目の求婚を喜ぶわけがありませんが、返すお金がなかったものですから、商人は自分の無力さに悲しみました。彼にできることと言ったら、せいぜい支払いの期限を少し延ばしてもらうくらいでした。
数日後、金貸しがまた姿を現し、娘に愛想顔を向けると、こう言いました。
「どうだろう。ちょっと面白い賭けをしないか。お父さんには今借金を返すお金がない。でもこの賭けで助かるかもしれない。この空の袋に石を二個入れる。一つは白、もう一つは黒。袋に手を入れて石を一つ取ってごらん。石が黒なら、私と一緒になる。そしてお父さんの借金は帳消し。 石が白なら、結婚も借金も帳消し。どっち道、お父さんにとっては好都合。いいか、もしこの賭けをしないというなら、お父さんはただでは済まされないぞ。牢屋入り間違いなしだ。」
娘には、そのほかの方法がなく、しぶしぶ賭けをすることにしました。商人の庭には白と黒の小さな石が沢山敷かれており、金貸しはその石を二つ拾うと袋の中に入れました。
「さあ、一つ取って。」金貸しが言いました。
娘は意を決して手を入れましたが、うかつにも手から石を落としてしまいました。石はころころと転がるとほかの石の間にもぐりこんでしまいました。
「あら、あら!すみません。何てそそっかしいんでしょう!石の色を確かめる間もなかったわ。」
娘はしゃがんで白い石を拾いました。
「これだわ。」
本当は、足元の石はどれも似ていて、どれが落とした石なのかわかりません。
金貸しは顔をまっかにして声を荒げました。
「そんなわけはない!黒だろう!」
娘も声を大にしました。
「随分自信がおありですのね。袋の中を調べれば、どっちの石が残っているかわかるでしょう。私の取ったのはその反対の色のはずですわ。」
もちろん金貸しは、娘が取った石は黒、とわかっていました。黒い石をわざと二つ袋に入れておいたのです。
でもそのことを白状するわけにはいかず、やむなく袋の中の石は黒で、娘が取った石は白だった、と認めざるを得ませんでした。
「あの娘なかなかやりおるな。」
言った手前、金貸しは、娘と一緒になるのはあきらめ、商人の借金も帳消しにしました。

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