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童話

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こそだてゆうれい

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昔、昔あるところに飴を売るお店がありました。
ある晩、お店の戸を叩く音がしたので、主人が戸を開けると、そこにはお腹が大きい美しい女の人が立っていました。
「すみませんが、この小銭で飴を一つ売ってくださいませ。」
女の人は小銭を一枚渡し飴を一つ受け取りました。
次の日の晩もその女の人は飴を買いに来ましたが、顔色は前よりも悪くなっていました。
「夜ではなくて昼間来てくれませんか。」
「申し訳ありません。どうかこの小銭で飴を一つ売ってくださいませ。」
女の人は弱々しい声で必死に頼みました。
3日目の晩も、またその女の人がやってきましたが、顔色はさらに悪くなっていました。
「どこから来たのですか。どこに住んでいるのですか。この辺では見かけない顔ですが。」
「2、3日前に来たばかりです。」と髪を顔になびかせ弱々しい声で答えました。
4日目、5日目、6日目も、女の人はやって来ましたが、顔色は日に日に悪くなるばかりでした。7日目のことです。
「すみません。もうお金がありません。でも飴を一つ下さいませ。どうしても飴が必要なのです。」と小声で泣きながら言いました。
「あげられません。」と主人が言うと、女の人は着物の袖を引きちぎって渡してきたので、主人は驚いて渋々飴を渡しました。
「どうもありがとうございます。」
主人は女の人がどこに行くのか確かめたくなりこっそり後を追いかけることにしました。
やがて山寺の石段の所まで来ると、ゆっくりと石段を上がり、寺の門を通り抜け、お寺の脇を歩き、お墓の所に行くと突然新しい土が積まれている所で消えてしまいました。するとどこからとなく赤ん坊の泣き声が聞こえてきました。
主人はお坊さんの所に行くといままでのことを話しました。
「...というわけで、この振り袖がそうなんです。」
お坊さんは振り袖を見て言いました。
「この着物なら覚えている。一週間前、若い女の人が来て、気分が悪く宿屋に泊まるお金がないから泊めてくれということだった。そこで一晩泊めてやったのだが赤ん坊を生むために親元に帰ってきたということだった。わしにかわいい産着を見せてくれたが、驚いたことに次の朝亡くなっていたんだ。どこから来て、誰なのか分からずじまいだった。産着と小銭6枚を入れて寺のお墓に埋めてやったわけだ。」
「お坊さん、今何といいました。小銭6枚。その女の人は飴を求めに7回来たのですよ。」と主人は震えながら言いました。
「お墓を掘り起こしてみませんか。」 
   次の日、お坊さんがお経を上げている中お墓が掘り返されました。
柩をあけると、皆が驚きました。
死んだ女の人の腕のなかにかわいい産着に包まれた赤ん坊がいました。
「お坊さん、飴を買いに来たのはこの女の人です。」
「なるほど、確かに袖が一つ無くなっている。」
その時です。赤ん坊が突然泣きだしました。
「赤ん坊が生きているぞ。」お坊さんは赤ん坊を取り上げて言いました。
「母親はお乳のかわりに飴を毎日あげていたんだな。この子はこの寺で育てよう。」
うわさは遠くまで広まり、飴屋は大変有名になり多くの人が飴を求めにやって来ました。
数年が過ぎ、その子は立派な子供に成長しました。
そして都に出て一生懸命勉強し立派なお坊さんになりました。

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