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つきみそうのよめ

むかし、むかし、ある山村に若者がおり、彼は美しい声の持ち主で、毎日、朝早く起きては、馬子唄を歌いながら馬草(まぐさ)を刈りました。
ある晩のこと、仕事から帰ると、若者の粗末な家の前に見ず知らずの若い娘が一人たたずんでいました。
こんな美しい女の人を見るのは初めてで、娘はこちらに近づいて来ると、こう言いました。
「今日山越えをしようと思いましたが、無理のようです。もうお日様が沈みかけましたから。ご迷惑でなかったら、一晩泊めていただけないでしょうか。」
若者は驚いて娘を見つめていましたが、やがておずおずと言いました。
「おらの家は、おら一人住まいで、その上今夜の飯もままならない貧乏暮らしだ。」
「食事のことなら心配しないでください。私が何とかしますから、どうかここに泊めてください。」
若者がまだ返事をしないのに、娘は家に上がりこむと、せっせと働き出しました。
夕飯の準備をしながら、部屋を掃除したり、洗濯物を洗ったり、、そして夕飯の支度が整う頃には、家の中はすっかり片付いていました。
夕飯が済むと、娘は若者に言いました。
「一人暮らしでは何かとご不自由なことでしょう。もう少しここにいてあなたのお手伝いをいたしましょう。」 娘はしばらく一緒に暮らすこととなり、ついには若者の妻となりました。
ある朝早く、若者は一抱えの馬草を刈って持ち帰り、ふと見ると、その中に美しい月見草が混ざっていました。
「何て綺麗な花だろう!」若者はそれを手に取ると、妻を大声で呼び、
「ちょっとこっちへ来てご覧。今朝刈った草の中に綺麗な花が混ざっていたんだ。早く見においで。」
でも、返事がありませんでした。
「どこにいるんだ。お前。」若者はあちこち探したあげく、妻が台所の床に倒れているのを見つけ、
「どうしたんだ。具合が悪いのか。」若者は妻の頭を両手で抱えると、妻はか細い声で答えました。
「私は毎朝あなたの素敵な馬子唄を聴いていました。私の夢は、あなたのような美しい声の持ち主と所帯を持つことでした。そして私の夢は叶いました。あなたの妻になれたのですから。これまであなたと一緒に暮らせて幸せでした。実は、私は今朝あなたが刈り取った月見草の精なのです。一旦刈られてしまえば、私の命もおしまいです。あなたの妻になれてとても幸せでした。ありがとうございました。」
そう言うと、妻は若者の腕の中で気を失い、まもなく息を引き取りました。

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