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アラジンとまほうのランプ

むかしむかし、あるところに、母親と2人ぐらしのアラジンというまずしい少年がいました。
ある日、男が現れ、すばらしいものを見せてやろうといって、アラジンを町から遠くはなれた谷間までつれていき、男が呪文をとなえると、地面がぐらぐらゆれ、ぽっかりと大きなあながあきました。
「穴の中の部屋のおくにある古いランプをもち帰ってこい」と男はアラジンにいいました。
じつはこの男、わるい魔法使いだったのです。男は、おまもりだといって指輪をアラジンに渡しました。アラジンはしかたなく暗いあなの中をすすんでいき、部屋の中で見つけたのは、古ぼけたごくふつうのランプです。
ランプを持って、出口へもどるとちゅう、アラジンはきれいな実がたくさんなっている木を見つけました。赤、緑、青、むらさき。光りかがやくふしぎな実だったので、母親へのおみやげにと、木の実をふくろの中につめこみ、あなの出口までもどってきましたが、出口では、「おそいぞ。早くランプをよこせ」と男がおこっています。アラジンは、つかれているし、少し休もうと考えて、あなのおくにもどりました。すると男はますますおこりだし、
「さてはランプをよこどりするつもりだな。もどってこないなら、おまえをランプごとえいきゅうにとじこめてやる」
といって、呪文をとなえると出口がふさがれ、アラジンはほらあなの中にとじこめられてしまいました。困ったアラジンは、神様にいのるようにして両手を合わせた時とつぜん目の前に、おそろしい顔をした大きな魔人があらわれたのです。
「私は指輪の魔人です。およびとあらば、即参上。ご用命(ようめい)は何なりと」と、魔人は明るい声でいいました。
アラジンはびっくりしましたが、「家に帰りたいのでここから出してくれ。」とたのむと、
「おやすい御用」魔人がそう言った次の瞬間、アラジンは家の前に立っていました。ふくろの中にはたくさんの木の実と、古ぼけたランプが一つ。
ぶじに家に帰ったものの、びんぼうぐらしはあいかわらずで、そこでアラジンは、ほらあなからもち帰ったランプを売って、お金にしようと考えました。少しでも高く売れるようにと、ランプをごしごしこすってみがいてみると、また大きな魔人があらわれました。
「私はランプの魔人です。ご主人様はランプの持ち主。ご用命は何なりと」指輪の魔人よりもはるかに大きな魔人でした。
そこでアラジンは、おいしい食べものをどんどんもってくるように命令すると、魔人はたちまち料理やパンやのみものをどっさりもってもどってきて、その日から、ランプをちょっとこするだけで、何でも手に入れることができるようになったのです。
このうわさは国じゅうに広まり、ついには王様の耳にもとどき、王様に気に入られたアラジンは、とうとうおひめ様と結婚しました。
アラジンは誰にでも親切でしたので、国中の人から好かれましたが、あの魔法使いだけは、アラジンを憎んでいました。
ある時、アラジンが留守を見計らって、魔法使いはランプ売りに化けて、お城にやって来ました。
「古いランプと新しいランプを、取り替えませんか?」
 何も知らないお姫さまは、古びた魔法のランプを渡してしまいました。
ついにランプを手に入れた魔法使いはさっそく魔人をよびだし、このお城を自分の国にはこぶように言いつけました。お城は、ひめとアラジンの母親もいっしょに、魔法使いの国へはこばれてしまいました。
外出からもどったアラジンは話を聞いて、すぐにひめたちをたすけようと思いましたが、ランプは魔法使いに取られてしまったので使えません。そのとき、目にとまったのはあの指輪でした。
「そうか指輪のことをすっかりわすれていた」そういって、指輪をこすると、指輪の魔人が現れ、
「ご用命はなんなりと」
「すぐにひめと母のところに連れて行ってくれ」
指輪の魔人はたちまちアラジンをお城にはこびました。それからひめと母親のところにたどり着きましたが、ランプは魔法使いがもっています。
ひめは、自分と結婚するように魔法使いにおどされていました。それを聞いたアラジンは、ある計画を思いつきました。
帰ってきた魔法使いに、ひめは「あなたの妻になりますから、ワインで乾杯しましょう」といい、うまくねむりぐすり入りのワインをのませることに成功したのです。アラジンは、ねむりこけている魔法使いからランプをうばいかえしました。
そしてアラジンは、ランプの魔人にいいつけて、
「僕たちとこの城を元の場所に返しておくれ。あとこの魔法使いをほら穴に閉じ込めておくれ。でもかわいそうだから、飢え死にしないよう、パンのなる木と、ワインのわく泉を用意しておくれ。」
「かしこまりました。ご主人さま」
こうして、お城とひめと母親をとりかえしたアラジンは、いつまでもしあわせにくらしましたとさ。

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