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ウサギとカメ

カメが、ゆっくりゆっくり道を歩いていました。
池にある、自分の家に帰るところです。
そこへウサギが、ぴょんぴょんと跳ねながらやって来て、
「カメ君、あんたはほうとうに遅いねえ。それでは家に着く前に、日が暮れてしまうよ。」
カメは、怒って言いました。
「僕だって、いざとなれば、とても早く走ることができるんだ。」
ウサギは、笑って言いました。
「いざっていうのは、いつのことだい。」
それから、ウサギは少し考えてから、
「よし、明日の朝、向こうの丘までかけくらべをしよう。先についた方が勝ちさ。」
「分かった。競争しよう。」
カメは答えました。
次の朝、カメとウサギは丘のてっぺん目指して、よーい、どんです。
ウサギはぴょんぴょん川を渡り、森を過ぎ、野原を横切って走りました。丘に登る坂道まで来た時、ウサギは振り返りましたが、カメの姿はまったく見えません。
「ふん、どんなもんだい。だいたい、カメがウサギとかけっこしようなんて馬鹿な話さ。どれ、ここいらで一休みしよう。」
ウサギはそばの草原にごろんと寝転び、そのまま眠ってしまいました。
 カメはずいぶんたってから、ウサギの所まで来ました。
一生懸命歩いたので、汗びっしょりです。
でも、寝ているウサギを見て、にっこり笑いながら言いました。
「お先に失礼。」
こうして、ウサギはカメに負けたのです。

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