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きたかぜとたいよう

あるひのこと、きたかぜが たいように ちからじまんをしています。
きたかぜが いいました。
「ぼくは どんなものでも かんたんに ふきとばすことが できるよ。せかいで いちばんの つよいのは やっぱりぼくだね。」
すると たいようは いいました。
「ふふん。たしかに きみは ちからもちだ。でも、いちばん っていうのは どうかな?」
そこで ふたりは ちからくらべを することに しました。
「よし、それでは ちから くらべを してみよう。あそこを あるいている たびびとの きている ふくを ぬがせたほうが かちだよ。」
「よし、いいだろう。さいしょは きたかぜくん、 きみの ばんだよ。」

きたかぜは ちからを こめて たびびとに かぜを ふきかけます。
たびびとのふくを ふきとばそうと 考えたのですが、たびびとの ふくは ぬげません。
「ああ、今日はなんて さむいひなんだ。」
きたかぜは さらに ちからを こめて かぜを ふきつけます。
「ぶうぉー! ぶうぉー!」
ところが ふくを ふきとばすどころか、たびびとは さむがって コートを さらに着てしまったのです。
「あー さむい さむい!」
たびびとは、風にとばされないよう服をしっかり押さえてしまい、きたかぜは とうとう あきらめました。
「きたかぜくん。どうやら だめなようだね。さ、こんどは ぼくの ばんだよ。みていて ごらん」

たいようは そういうと さんさんと かがやきはじめたのです。
ひえきった そのばしょは みるみると あたたかく なっていったのでした。
「あー、あつい、あつい。きょうは なんという ひだ!さむくなったり あつくなったり!もう、たまらん!」
そういうと たびびとは おもわず ふくを ぬいでしまいました。
それをみた きたかぜは たいように いいました。
「なんでも ちからずくで すまそうとした ぼくが まちがっていたね。ぼくの まけだよ。」
きたかぜは はんせいし それからというものじぶんの ちからを じまんすることは にどと なくなったのです。

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