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童話

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しあわせのエンドウマメ

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あるところに貧しい母と子がいました。
子供は10歳前後でもう長い事病気を患っていていつも窓辺のちいさなベッドで寝ており、
母親は何年か前に主人をなくし、それ以来あちこちの家の台所の手伝いや店の掃除をしてもらったわずかなお金で小さな部屋の家賃と子供の薬代、そして食べ物を得て暮らしていました。
子供はそんな母親が毎日決まった時間に出かけ、決まった頃にほとほと疲れきって帰ってくるのを見て早く元気になっておかあさんの苦労を軽くしたい、自分も働いて少しでも生活が楽になるようにできれば・・・、と病気であることをすまなくおもっていました。
あるとき母親はちいさな包みを持って帰ってきて、ニコニコしながらくしゃくしゃになったその包みを子供に見せていいました。
「ごらん。きょうはねお金持ちの奥様のお宅のお台所で野菜の皮むきを手伝ったのさ。何か大きな集まりがあるらしくてそれはそれは沢山の皮むきをやったよ。ほらおかげで私の手はこんなにはれてしまったよ。でもおかげでほらこんなに沢山のさやに入ったえんどう豆をもらうことが出来たのさ。」
包みの中にはこぼれんばかりのさやえんどうがつやつやと太ってひしめきあっていました。
ふたりにとって本当に久し振りの沢山のやさいです。
母親は子供のためにこんなに沢山の野菜を食べさせてやれることを喜び、子供はお母さんといっしょにおいしい食事が出来ることを喜びました。
母親は今日手伝ったお金持ちの家がどれほど立派でどれほどすばらしいかを見てきたままに子供に話して聞かせながら、さやえんどうの筋をとり、子供はおかあさんの話を聞き、その仕事振りを見ながら次々にざるに入れられていく緑の宝石のような綺麗な粒を嬉しそうに眺めていました。
ふと母親が話の弾みで大きく手を動かした時、ひとさやのえんどう豆がぱんとはじけてそのまま豆が飛び散ってしまいました。親子はびっくりしましたがでもさやえんどうはまだまだ沢山ありますし、その瞬間のことを思い出したらとてもおかしくて二人で大笑いしながらまた続きを始めました。
その日の食事はゆでたえんどう豆に塩を振ったものと薄い豆のスープだけでしたが二人は久し振りに食事したようにおいしく幸せに思ったものでした。
次の日、子供は窓の外を眺めようと窓をに手をかけて、ふと小さな緑色の粒に気がつきました。
「おかあさん、みて!ほらあの時のえんどう豆が一粒こんなところにいるよ。」それを聞いて母親は少しでもこの子の慰めになるのなら・・とちいさな茶碗に土をいれ、えんどう豆をそのなかに埋め込んでやりました。
子供はそれを大事にして、毎日水をやり日に当てては、アレコレ話し掛けて豆が大きくなるのを楽しみにしていました。
そのうち、あの小さな茶碗の中の豆はやっとのことで芽を出し、わずかな日の光りを浴びながら、それでもすくすくと育つようになりました。
母親は何回か入れ物を変えながら子供の喜ぶのをみて、自分も毎日豆が成長していくのを見るのを楽しみにするようになりました。
そして豆は順調に成長し蔓(つる)を伸ばしてはぐんぐん延びていき、可愛らしい花も咲かせ二人を喜ばせ、そしてついには幾つかのちいさなさやをつけてた後、その実を太らせ、再びあの親子の食事となったのでした。

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