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童話

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いっきゅうさん

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むかし、室町時代のおはなしです。京都で、ひとりの男の子がうまれました。
この元気な子はせんぎくまる(千菊丸)と名づけられ、千菊丸はすくすくとそだち、6さいになったときに京都のにある安国寺(あんこくじ)というお寺にはいることになりました。
「きょうからおまえは千菊丸ではない、一休と名のりなさい」
「はい、ありがとうございます」
一休さんは、ほかの小僧さんのぼくねん、ちんねん、じゅうねんさんたちときびしいおてらのせいかつにはいっていきました。
だれよりもはやくおきて、そうじをし、あさいちばんのかねをつきます。
それからおきょうをよんだり、ざぜんをくんだり、ごごにはやまにたきぎをとりにいったり、まいにちまいにちきびしいしゅぎょうがつづきました。
しょくじはひえやあわのおかゆ一杯。おかずもほんのちょっぴりでした。
ある夜のことです。おなかがすいてねむれない一休さんが水をのもうと、おしょうさんのへやのまえをとおりかかりました。
「あれ、和尚さま、まだおきているのかな?」
「わしはこれをなめるのがいちばんたのしみでの。おお、あまくておいしい!」
「和尚さま、水あめですか。おいしそうですね」
「いやいや、これはな、これは薬じゃ。わしのようなとしよりには薬にはなるが、こどもにはどくになる。けっしてたべてはならぬぞよ」
「はい、わかりました」
ある日、和尚さんがだんか(檀家)のようじででかけ、一休さんたちが和尚さんのへやをそうじしていたときのことです。
「(壷が割れる音)ああ!どうしよう!和尚さんのだいじなつぼ!どうしよう。(ちんねん、泣き出す)」
「ちんねんさん、なかなくてもだいじょうぶですよ。じゅうねんさん、そのとだなのしたにかめがありますからだしてください」
「いったい、これはなんだ?」
「水あめですよ。みんなでなめましょう」
「えー」
「そんなことをしたら、和尚さまに…」
「いいから、いいから、わたしにまかせてください」
(みんなで水あめを食べ始める)
「ああ、うまい!うまい!ほっぺたがおちそうだ」
「おいしいな、おいしいな、どくあめっておいしいなあ」「うまいなあ、おいしいなあ」 やがて、和尚さんが帰ってきました。
「おまえたち、何をしておる?」
「じつは和尚さまがだいじにしているしょうぐん(将軍)さまからいただいたつぼをわってしまいました。みんなでしんで、和尚さまにおわびしようとかめにはいっているどくの薬をたべたのですが、どくのまわりがおそく、いまだにしぬことができません。なんまいだ(南無阿弥陀仏の意味)」
「なんまいだ」 「なんまいだ」
こういわれては、さすがの和尚さんもおこることができません。
「一休!こうさんじゃ。こうさんじゃ」
一休さんのおかげで、ちんねんさんは和尚さんにおこられずにすみ、みんなであまい水あめもなめられたのでした。
それから、数日たってまつやちょうべい(松屋長兵衛)さんから、和尚さんに法事をしていただきたいというあんないじょうがきました。
あんないじょうにはかならず一休さんをつれてくるようにと書かれていました。
松屋長兵衛さんの家にはおおきなはしがかかっており、なにやら、たてふだがありました。
「このはしわたるべからず」
「一休。このはしはとおれんぞ、うらにまわるか?」
「だいじょうぶですよ。わたしのあとについてきてください」
「これは、これは一休さん。たてふだをおよみになりませんでしたか」
「よみました。ですから、はしをとおらずに、まんなかをあるいてきました」
「なるほど。はしをとおらずにまんなかをとおりましたか。また一本とられましたな。ははは」
やがてあたまのよい一休さんのうわさがみやこじゅうのひょうばんになり、ときのだじょうだいじん(太政大臣)よしみつこう(義光公、足利義満のこと)のみみにはいり、一休さんはきんかくじによばれました。
「一休とやら、あたまをあげい」
「はい」
「おまえはことのほか、りはつだというひょうばんじゃが、ひとつたのみたいことがある」
「はい、何でございましょう」
「うむ、それなるついたてにとらが書いてあるが、夜ごとぬけでてきてはいたずらをしてこまる。すまぬが、そのとらをしばってはくれぬか」
「はい、かしこまりました。では、じょうぶななわをおかしください。よういができました。だれかとらをおいだしてください」
りっぱなおさむらいさんもえのとらをおいだすことができません。みんなこまってしまいました。
「はやくしてください。このとらをおいだしてくださらないとしばりあげることはできませんよ。さあ!はやく!」
「一休、わしのまけじゃ。なるほどちえしゃ(知恵者)じゃ、ほうびにまんじゅうをとらそう。さあ、えんりょせずにふたつともたべるがよい」
「ありがとうございます。いただきます」
一休さん、おいしそうにまんじゅうを食べました。
そして一休さんは12さいになると、ぶっきょうとがくもんをふかめるためしゅぎょうのたびにでました。
のちに一休さんは京都の大徳寺(だいとくじ)のじゅうしょく(住職)となり、いっきゅうぜんじ(一休禅師)というえらいお坊さんとしてぶっきょうのおしえをひろめたのでした。

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