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童話

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はなききおとこ

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むかし、むかし、あるところに若い漁師が住んでいました。
ある日、若者は船で四十日間同僚と一緒に漁に出ると母親に言いました。
「お母さん、私が出発したら二十日後、この家に火をつけて下さい。」
「何を言ってるんだい。そんな馬鹿げたことはできません。」
「お母さん、考えがあるんです。是非この家に火を付けて燃やしてください。」
出発からまさに二十日後、母親は息子に言われたとおり家に火をつけて灰にしてしまいました。
一方、その晩、若者は同僚に、鼻を動かしながら言いました。
「何か燃えている臭いがする。何と、これは俺の家が燃えている臭いだ。俺の家が燃えているぞ。」
「ばかな。お前の家からここまで400キロ以上あるぞ。燃えている臭いがするわけがない。」
そして二十日後、村に帰ってみると、漁師の家が二十日前に焼けたということが分かりました。
「奴の言ったことは本当だったんだ。何と鼻がいいんだ。」みんなは言いました。
「信じられない。もう一度試してみよう。」と一人が言い、数日後、井戸に炭を大量に投げ込んでいると、村人が通り過ぎ、
「何だって、炭を井戸に投げ込んでいるんだい。」
「あの有名な若者の鼻を試してみたいんだ。」
その村人は家に帰る途中、鼻のいい有名な若者に出会って、言いました。
「お前さん、この村では、鼻ききでたいそう有名だね。井戸の近くを通ったら、お前の鼻を試すと言うことで井戸に炭を投げ込んでいたよ。」
まもなく若者は友達に呼ばれ、
「お前さん、お願いがあるんだ。鼻がいいんだよね。この間俺の炭が大量に突然消えてしまったんだ。どこを捜しても見つからなかった。そのいい鼻で炭を見つけてくれないかな。」
「いいよ。お安い御用だ。」と若者は言うと、井戸の所へ行って臭いを嗅ぐふりをすると、
「この井戸の中に炭の臭いがする。」
「おお。本当にお前は鼻がいいんだね。」そこにいたみんなが驚き、若者は、以前にもまして、鼻がいいことで有名になりました。まもなく、町の藩主が病気になり、医者が病気を治そうとしましたが駄目でした。
ある日、若者はお城からお達しがありました。
「そなたは、鼻がいいとのこと。藩主が長い間、患っている。そなたのきき鼻で病気の原因を嗅ぎ取ってもらいたい。その暁には、過分なる褒美を取らせる。」
この申し出を断る理由はなかったのですが、どうしたらよいかわからないまま、とにかくお城に向かいました。大きな松の木の所に来ると、なにやた二人の天狗がこそこそ話をしていました。
「木の下の男をからかってやろうぜ。」
「よそうよ。奴は鼻がいいので有名で、これから藩主の所へ行くんだ。奴をからかうと、俺たちは藩主から厳罰を受けるぜ。でも奴にわかるかな。あの病気は庭の大石の下にかえるがいるからなんだけどな。石の下からかえるを出してやれば、病気も治るのにな。」そう言うと、二人は山の方へ飛んで行きました。
若者はこれをしかっりと聞いていました。若者は本当は鼻ではなく耳がよかったのです。
お城で藩主に会うと、若者は臭いを嗅ぐふりをして、庭の方を見て、天狗のいっていた大石の所に行きました。
「この大きな石の下にかえるの臭いがします。病気はこのかえるが原因です。」と言って、石を指差しました。家臣が石をどけると、まさにかえるがいたので、さっそく逃がしてやりました。すると驚いたことに、藩主が床から立ち上がりました。
若者はたくさんのお金と米俵をもらい、それから「鼻きき男」という名を藩主から与えられました。

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