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おしょうさんとこぞう「もち」

むかし、むかし、山寺に和尚さんと小僧さんが住んでいました。和尚さんはたいそうけちで、檀家からいただいた甘いものは決して小僧さんにはやりませんでした。
ある晩、和尚さんは部屋で一人、火鉢で「もち」を焼いているところを、小僧さんがふすまの隙間からのぞいていました。
「焼けたぞ。おいしいぞ。」と熱い餅を口にほおばりながら言いました。
「フウー、フウー」と食べる前に、餅を冷ましていました。
小僧さんも食べたくて仕方ありません。しばらくすると、名案が浮かび、次の晩、小僧さんは和尚さんに言いました。
「和尚さん、お願いがあります。今日から私のことを、フウーフウーと呼んでください。」
和尚さんは、何かおかしいな、とは思いましたが、餅を食べるのが先決でした。
「いいだろう。これからはフウーフウーと呼ぶことにしてあげよう。さあ、寝る時間だ。床に入りなさい。」と言うと、自分の部屋で餅の準備を始めました。
「焼けたぞ。おいしいぞ。」と熱い餅を口にほおばりながら言いました。
「フウー、フウー」と食べる前に、餅を冷ましていると、小僧さんはふすまを開け、部屋に入ってきました。 「はい、何でしょうか。」
「何のようだ。お前など呼んでおらんぞ。」たいそう驚いて、腰を上げました。
「今、フウーフウーと呼びました。」
和尚さんは大声で笑うと、こう言いました。
「おまえはなかなか頭がいいな。は、は、は。」
と言うと、餅を一口小僧さんにあげました。

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