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野ぎつね

むかしむかし、ある山にキツネが住んでいました。キツネは時々村へ行って、三本松のあたりで、人を化かしていました。
ある日、お百姓さんがこのキツネのことを話していると、通りかかった旅のお侍さんが、
「そんな野ぎつねおれが退治してやろう」
と、言いました。このお侍、かなりの腕自慢だったようです。

そして、三本松までやってきて、待っていると、山のほうから、きれいな娘が一人、歩いてきました。
娘は侍をみると、そばにやってきて、
「私は村まで行きたいのですが、もう夕方になってきて、ぶっそうです。
どうか私を村まで連れて行ってくれませんか」
といいました。
侍は「このキツネめ。逃げられないぞ」とつかみかかりました。
すると、娘はにっこり笑って、ぱっと消えてしまいました。
と思っていると、今度は若い商人になって、
「私は江戸から来たものですが、一人旅はさみしくて。
一緒に行ってもらえませんか」
「お前はさっきのキツネだろう、だまそうったってそうはいかないぞ。」

キツネは見破られて今度はおじいさんに化けました。それから、おばあさんに、お坊さんに
次々と化けましたが、見破られてしまいました。そしてとうとう、野ぎつねになってしまいました。

侍は大笑いして、「ははは。正体をあらわしたな~、いけどりにしてやるぞ」
と手を広げて追いかけました。キツネは夢中で逃げましたが、侍にしっぽを引っ張られて、
「コンコンコン」と泣いて謝りました。
「泣いてもだめだ」と侍がしっぽを引っ張るとしっぽが抜けてしまいました。
キツネは泣きながらどこかへ行ってしまいましたが、そこへお百姓がやってきて、
「こら~」と怒っています。
「わるさをするな、おれの畑の大根を抜いて」
そう、抜けたしっぽは大根だったのです。

お侍さんは、すっかり化かされてしまいました。おしまい

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