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童話

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おうさまの耳はロバの耳

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昔々ある国にとても帽子の好きな王様がいて、その王様は夏でも冬でも、耳まですっぽり隠れる大きな帽子をかぶっていたのです。
どんな時でも帽子を脱ごうとしない王様が、髪を切る時はどうするかとういうと、いつも床屋さんをお城に呼んで、散髪してもらっていたのです。
けれど、不思議なことに、お城へ行った床屋さんは誰一人帰ってこず、町の床屋さんはだんだんと少なくなっていきました。
「この国の床屋も、とうとう僕とおじさんの二人だけになってしまった。次にお城に呼ばれるのは僕なんだろうな。嫌だな。怖いな。」
若い床屋さんはいつもびくびくと震えていましたが、とうとう若い床屋さんにおよびがかかったのです。
床屋さんが怯えながらお城に行くと、王様が大きな鏡の前に座って待っています。
早速髪を切ろうと、床屋さんは王様の帽子を取ってみると、そこにはロバのように大きな耳がたれているではありませんか。
その姿があまりもおかしくて、床屋さんは笑ってしまいそうになりましたが、
「ここで笑ったら、きっと殺されちゃう」
そう思った床屋さんはじっと堪えて、どうにか笑わずに髪を切り終えると、王様は床屋さんに、「私の耳は長すぎると思うか」と尋ねたのです。
床屋さんは恐ろしくて、「いや、普通だと思います」
「そうか、ならいい。しかし、耳のことを誰かに話したら、命はないと思え」
「はい、絶対に誰にも喋りません」
それから、床屋さんはたくさんご褒美をもらって、街に帰ってきました。
町の人たちは、城から戻ってきた床屋さんに、王様の帽子をかぶっている理由を興味津々で尋ねましたが、床屋さんは
「王様がただ帽子が好きだけなんだよ」とはぐらかしていましたが、そんな風に嘘を付き続けるうちに、お腹がどんどん膨れてきて苦しくなってきました。
医者にみせると、
「おお、これは言いたいことを我慢過ぎてお腹膨れる病気だ。このまま放っておくと死んでしまうぞ。誰かに話すか、せめて穴を掘って、その中に叫びなさい。」と言われたので、床屋さんは早速、大きな穴を掘り、穴に向かって「王様の耳はロバ耳。王様の耳はロバ耳。王様の耳はロバ耳」
そう叫ぶと、気持ちがすっきりしました。
床屋さんはすっきりした気持ちで穴を埋めると、家に帰りました。
そのとき穴の中に木の種が一つ転がり落ちてきました。木はやがて大きくなり、たくさんの枝を付けました。
ある日、笛の好きな羊飼いがその木のそばを通りかかり、枝を折って、笛を作り、早速吹いてみると、不思議なことに、笛から「王様の耳はロバ耳」と聞こえて来るではありませんか。
変な笛だなと思った羊飼いは、みんなにその笛の音を聞かせてあげたので、王様の秘密は皆に知られてしまったのです。
その噂を聞いた王様は、かんかんに怒って、床屋さんと羊飼いを呼びつけ、
「誰かに喋ったら命はないと言ったはずだか」
「僕、僕は誰にも喋っていません、本当です。だた、穴を掘って叫んだだけなんです。」
「俺は、そこから生えた木で、笛を作っただけさ」
王様がその笛を吹いてみると、笛は「王様の耳はロバの耳」と本当に聞こえてきました。
王様は溜息をつき、「噂はもう広がっている。これ以上隠すのは不可能だな。まま、いい、隠す必要がなくなって、むしろ、楽になったよ。お前たちのおかげだな」
そう言って、床屋さんと羊飼いにたくさんの褒美を取らせました。

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